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単純にバカみたいに

みんな罪悪感を持っている。生きていることそのものに、自分の平凡さにだ。みんな自分にうんざりしていて、超人的にがんばならくては自分を好きでいられないような心境になっているように見える。
 
中略
日本では、何か重いものがべったりと空気の中にある感じがする。
特に、おじさんと若い女性にその重みはのしかかってきていると思う。

私たちの肉体は大昔からそんなに変わっていないし、1日は24時間。
そんなにたくさんのことができるわけがない。
それなのにこの時代の日本が人に要求することは、
ほとんど超人になれというようなことばかりだ。

それらがぐちゃぐちゃに混じり合ってしかもほんわかとはしていないせちがらい中で、部屋もきれいで、自分も年齢を超えてきれいで、情報には敏感で、お金も稼いで、過去の価値観からは離れ、でも親とも円満に、男にもかしずき、子も産んで……、そんなことを要求されているのが、今の若い女性だ。
 
 中略

 人生は一度しかないし、自分はひとりしかいない。そんな基本的なことを忘れてしまう。
 私たちは、食べるために生まれてきたのではなく、もちろん金のためでもなく、楽をするために生まれてきたのでもなく、子孫を残すためでもなく、長生きするためにでもなく……自分の情熱を燃やすために、向いていることをこの人生でやりつくすために生まれてきたのではないだろうか。愛する人びとへの愛情を抱きながら、たくさんのよき思い出をつくって、それを大事に抱えて悔いなく死ぬためにここにいるのではないだろうか?
 忙しくいらいらして働いて、一回も立ち止まらず、人生を捨てた形でいつも自分では何かが足りない、劣っていると思いながら、死に急ぐためでは絶対にない。

 中略

 みんな、どうしてしまったんだ、そんなにすごくならなくてもいいじゃないか、と思う。
 今日見たもののことを考えたり、しゃべったりしながら、普通に友だちとか家族とかと過ごそう。仕事はそこそこできて、失敗もして、たまには達成もして、それを自分の小さな誇りにしよう。見たくないものやしたくないことのために使う時間を減らそう。でもしゃかりきに何ものかになろうとしたり、自分から発信したりなんかしなくていい、そんな疲れることはやめよう。ペースを落として、ひとつひとつの行動を寝る前にふり返ろう。一日健康でいられたことに、平和に、家族が生きていたことに普通に感謝しよう。
「そんなこと言ったって、そんな単純なわけにはいかない、だって……」の言葉のあとにはいろいろな言い訳がくっついてくる。ひとりひとりがそれと戦おう。静かに、心を澄ませて。

 中略

体を整えてよく見れば、一日の中には必ず宝が一個くらい眠っている。それを大事に輝かせて、いい眠りの中に入っていこう。形ではない。どんな人とも違う、自分だけのやり方がある。それを思い出そう。

そんなことから、世界はもう一度新しい一歩を踏み出すのだと思う。


 こういう考えを「子供じみている」という古い考えと戦うために、私はちっぽけな小説をこつこつと、まずは自分の満足と楽しみのために書いていく。もしもそれを人が喜んで読んでくれたら、ほんのしばらくその中で憩ってくれたら、私の人生はもう充分すばらしい。デブでもものぐさでもブスでもバカでもセンスが悪くても何でもかんでも、もうそれで充分なのだ。
 それと同じものを、全ての人が持っているはずだ。「あなたがいてくれてよかった」と他の人に思われるようなところを。






よしもとばななさんのエッセイより


そういうことを飲み込んでなお、明るく笑っていようというのも、バカみたいに見えるけど、それは大きな戦いなのだった。

あなたがいてくれてよかった、と思うことを、わたしも伝えて生きたいと思う。
彼女がいつもそう言っているように。
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by ik-m | 2008-06-16 15:18 | 好きなこと

3人の子( 5歳 3歳 1歳 )の母してます。子育てを通して、自分と向き合い、自分を掘り下げるブログ。


by るりまり
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